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常用でない漢字慣用でない語句を使っても一般の人には読めないのと同じように、
絵も特殊な表現やデフォルメ(変化・誇張・省略)を施すと理解できないことがあります。

パソコンで打った文字は変換すれば自分の知らない漢字を入力することができ、
ちょっとした知識人を気取ることが容易にできますが、読めない・読みづらい文章では
読む側にとっては不都合になってしまいます

どんなに優れた文章を書いても、読むことができないのであれば結局、
その程度の価値ということになってしまうのです。


名称未設定 2
スケッチというのは手書きの文字と同じものです。
ワープロで打った文字をそのまま印刷するなり模倣(レタリング)するなりしたほうが
文字としては上手い」ことになりますが、そこには個性がありません

手書きの文字というのは普通、本来の書体を崩したり、簡略化されたりしていますが、
「本来の書体」ではなくても、きちんと読むことも読ませることもできるのです。

スケッチはどうでしょうか?

見たものを本物そっくりに描かなくても、何を描いたのかわかりますよね


名称未設定 3
手書きの文字(筆跡)が指紋やDNAのようにほとんど「唯一の個性」であるように、
スケッチ、つまり線の描き方にも各自の個性が表れるのです。



名称未設定 4
絵を描くことの最終的な「目標」が、何かを忠実に模倣することや、
本物そっくりに似せることであるなら、別に手書きである必要はありません。
トレスなりコピーなりしたほうが早いからです。


しかし、少なくとも私は、そうすることが絵の魅力であるとは思えません。
その過程も結果も、魅力のあるものとは到底思えないのです。




名称未設定 5
有名人のサインが単なる印刷物だったらがっかりするでしょう。
直筆でサインしてもらうことに価値があるのです。

模倣で名を上げようとするのは、下手をすれば贋作や偽造の罪に問われるかもしれず、
どんなによい腕を持っていても賞賛されるものではなくなります。







名称未設定 6
手書きの文字にも「上手い」「下手」があるのは事実です。
ある程度は個性なので仕方ありませんが、練習によって上達することもあります。

スケッチもそれとまったく同じです。

画数の多い漢字を書くのにはちょっとしたコツが必要なのと同じように、
スケッチにもバランスよく描くためのコツがあるのです。

初めは時間をかけても上手く描けないかもしれませんが、練習によって短時間で、
とても個性的なスケッチを文字のように描けるようになります。







名称未設定 7
さあ、気を楽にして、文字を書くような感覚でスケッチに臨みましょう。

「作文」が、文字の上手さではなく、作者がどんな経験や想いを書いたのかが読まれるのと同じように、スケッチも絵の上手さではなく、絵師がを描いたのかが読まれるのです。

「上手い」「下手」しか意識することのできないうちは、
絵を描くことも、鑑賞することも、難しいのです。