名称未設定 1
クロッキーはスピードを競うのではなく、
スピードと正確性の両方を求められるものです。
それを両立させることはまさに「矛盾」しますが、
大切なのは両立よりもむしろバランス

わかりやすくいえば文字を書こうとする際に「レタリング」を用いるのと、
ただ「字を丁寧に書く」のとの違いです。


名称未設定 2
練習量や対象の複雑性にもよりますが、2分という時間があれば
人物の顔だけでなく全身を描くことは十分に可能です。

初めて描く場合と、2回目に描く場合とでは当然、違ってきます。
そうした絵を「サイン」とみなすなら、基本的に書き直しはできないので、
2回目よりも1回目のクロッキーのほうが重要になります。


名称未設定 3
初心者はとにかく「」ばかりを入念に描き続ける傾向があり、
全身はおろか手や足の大きさすら把握できないことが多いです。

極端な話、顔に1時間かけて、体は1分で済ませてしまいます
それはいけません。
「顔が上手い」とか「体が下手」というように得手不得手を作るのではなく、
顔も体も平均的」に描くことが大切です。

慣れていない人の絵は、パッと見て明らかに顔と体の雰囲気が違っています。
顔だけ取ってつけたように見えたり、体だけ妙に線が弱くなったりします。
俗にいう「顔だけ絵師」がそれです。


自分は顔が得意だから、顔は常に入念に描こう」とするよりも、
顔も体も平均的に描こう」としたほうがいいのです。

そのような心がけでスケッチに臨めば、何でも描けるようになります。







名称未設定 4
可能な限り1本の線で描きましょう。
影の部分は塗りつぶしたり斜線で埋めたりしなくても、
明部と暗部の「境界」を1本の線で分けるように描くだけでいいです。

アニメの原画などの絵で、シャドウとハイライトの境界を示す線を
色鉛筆で区分したものを見たことがあると思います。クロッキーやスケッチにおいても
陰影を簡単に素早く描画する手段として役に立ちます。

「面」を意識するも、面として描くには時間がかかるので、
境界を「」として描くことが重要です。

そうです。とにかく「線」が重要なのです。







名称未設定 5
「アタリ」をつけなくても、複数の人物をスケッチすることは可能です。
下書きも消しゴムも使わないので、相当な経験が必要です。

しかしパース(遠近法)をうっかり見落としていると、
右ページのように修正せざるを得なくなることがあります。
こんなミスをしないように、もっともっと精進する必要があります。

ほんの数分で観察と描画を完結させるクロッキーというのは、
画力、特に1本の線で表現する力を飛躍的に向上させます。







名称未設定 6
あすさんのスケッチ講座もすっかり充実してきました。

「字を書くように描く」
という感覚がわかってきたでしょうか。

人物をスケッチするのは、ちょっと複雑な「文字」を書くことに似ています。
文字というのはいくつかの線分の組み合わせでできています。
「できるだけ1本で描く」ことの意味ももう十分に理解できたでしょう。

そして覚えるまでその「文字」を描き続ければ、自分の名前をサインするのと
同じような感覚で、しかも素早くスケッチできるようになるということです。